二度目の初恋
そしてあっという間に時は流れた。

吹奏楽コンクールは案の定、安定の5年連続銀賞を獲得し、例年同様9月開催の定期演奏会に本腰を入れられることになった。

今年は春合宿だったため夏はないし、それを気にすることもない。

ということで勉強以外の時間は恋愛にうつつを抜かすことが出来る。

8月10日は予定通りお昼休みの時間に練習を抜けた。

例のごとく、しつこく矢吹くんに理由を聞かれたが家庭の事情と嘘をついた。

彼に私の詳細を知らせる義務は私にはないし、彼が私の詳細を知る権利もどこにもない。

私は楽器をケースにしまい、お盆休みに入るので持ち出し表に名前を書いてソッコー帰ってきた。

母に気付けをしてもらい、髪は長くないから少し巻いた後ハーフアップにして300円ショップで手にいれた和っぽい飾りをつけた。

化粧をし直したらもう完璧だ。

下駄は歩きづらいから途中まではスニーカーで行き、神社の前あたりで履き替えればいい。

私はお気に入りのスニーカーを履き、リビングでクッキーを貪りながらゴロゴロしている母に行ってきますと声をかけ、玄関を出た。

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