お嬢様とピアニスト
「あの、先輩どうしてそんなこと知ってるんですか?確かに合ってますけど。」

やっぱり怪しまれた。

さっきも噂だって誤魔化したしそれで誤魔化せるか?

あながち噂があるのも間違ってはいない。

まあ俺は毎日桜木を見ていたから気づいたけど。

「いや、その…や、やっぱり噂になってたりするんだよ。朝は付き人に送って貰っているのに帰りは歩いて帰ってるって。」

「みんなよっぽど暇なんですかね?私のことをそんなに見てるなんて。何も面白くないだろうに。」

信じてくれた。

桜木が天然で良かったと心底思える。

でもみんなが桜木を見ているのは桜木が可愛いからだよ。

「いや、だから、それは桜木がかわ…、いやなんでもない。」

やばっ…!

思ってることがつい言葉に…。

桜木は自分が可愛いことに気づいていない。

まあ言っても本気でそう思われてるとは思わないだろう、桜木は。

というか、誤魔化さないと噂について質問されたらボロが出そうだ。

話題を戻して、電話を終わらせよう。

「あ、それで明日は直接来るのか?」

「はい。そうします。先輩はそれでも大丈夫なんですか?」

「俺は大丈夫だ。じゃあ明日。」

「あ、待って!」
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