きっと空は100年後


「だいたいさ。どうしてそんな、九十度も曲がったような蝶々になるの?飛べなさそう」


「はっ、馬鹿め。俺はこいつを逃がさないためにこうしているんだよ」


「飼い主が良ければ、逃げ出さないから。縛り付ける必要ないよ」


縦結び。不細工な白い蝶々。蒼と藍のグラデーションが背景に。


「こいつは、きっと、空を飛びたがってる」


「……そうなの?」


「だって蝶々だから。飛びたいと思うよ」


ふぅん。声を風に乗せ、傘を閉じる。

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