きっと空は100年後


「傘を持ってきて拗ねられるとは思ってなかった」


「だって、勇気出したから」


「ごめんって、今日は猫見ちゃったんだよ」


『……っ、佐脇、傘……持ってないなら、入れてあげる。一緒に──帰ろう』


『え、ごめん今日持ってる。それにしても三菅から放課後デートのお誘い貰えるなんてめちゃくちゃ嬉しいなー、可愛いなー』


……だって、だって、だって。そんなに揶揄われるなんて、そんなに喜ばれるなんて。


思ってなかったし。から回って、恥ずかしかったし。


いつもは傘、持ってこないくせに。猫が顔を擦る仕草で雨を察知するとかさ。予想外だったの。


あぁ、本当、恥ずかしかった。

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