アテナ・イェーガー〜反抗、のちにキス〜
「世の中はね、誰かに従うことで成り立っている。あたしは誰にも従いたくないだけ。だからこそ世界を手に入れたいの」

「そう思うあんたの心が理解できない。話にならないよ」

ロネがそう吐き捨てると、ユミルは「あんたもいつかわかるよ」と言い牢屋の前から立ち去った。



今日もまたつまらない牢屋での一日が始まる。ボロボロのベッドの上で目を覚ました時、ロネは何度目かわからないため息をついた。

「……自由になりたい」

アテナを連れて逃げることができる日は来るのだろうか。ロネは重い扉を見つめた。

その時がやって来たのは、本当に突然だった。もうすぐお昼か、と空を見上げていたロネのもとにユミルではなくアテナが現れたのだ。

「ロネ、今すぐここから逃げろ」

アテナが真剣な顔をして何かを取り出した。それは金色に輝く牢屋の鍵だ。ガチャリと音が聞こえ、牢屋の扉が開かれる。数週間ぶりにロネの身は自由となった。
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