アテナ・イェーガー〜反抗、のちにキス〜
「ありがとう!でも、急にどうして?」

「あの人は人質としての役目を終えたらあんたを殺すつもりだ。そんなことはさせない!」

アテナはロネの手を取る。久しぶりにつないだその手の温もりに、ロネはこんな時にでも幸せを感じた。アテナの腕には真新しい傷がある。

「アテナ、その傷は……」

「あの人との訓練で負ったものだ気にするな」

アテナはそう微笑み、ロネに杖を渡す。魔法使いには必要不可欠な魔法の杖だ。ロネは「ありがとう」と笑顔で言った後、アテナに魔法をかける。

「テネレッツァ!」

ロネの杖から細かな金色の粉がアテナの腕に降りかかる。それを首を傾げながらアテナは見つめていた。

「傷が消えている……」

アテナが目を見開く。アテナの腕にあった傷は全て綺麗になくなっていた。

「傷を治す魔法だからね」

ロネがそう言うと、「嬉しい。ありがとう」とアテナは笑う。そして二人はまた手をつないで歩き出した。
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