愛艶婚~お見合い夫婦は営まない~
8.躓く石も縁の端
あたたかな朝。
太陽の眩しさに照らされて、ほどよい温もりに目を覚ます。
朝……。
まぶたを開けると、目の前には眠る清貴さんの顔があった。
き、清貴さん!?なぜ!?
驚き声が出そうになるのをこらえて、横になったまま辺りを見回す。
そこは私の部屋でも彼の部屋でもない。
そう、昨日来た清貴さんの旅館だ。
そういえば昨日は清貴さんと話をして、泣き疲れて少し眠ってしまった。
気づけば夜になっていて、せっかくだから今夜はここで過ごそうということになり、ご飯を食べたり映画を見たりしているうちに寝てしまったんだ。
そんな私をベッドまで運んでくれたのだろう。
見ると、その腕は私を抱きしめたまま。
包むような温もりが、やっぱりうれしい。
こみ上げる愛しさから、私ははだけた浴衣からのぞくその胸元に額を寄せた。
「……朝から積極的だな」
「え!?」
その声に驚き顔をあげると、目を覚ましていた清貴さんはこちらを見ていた。
お、起きていたんだ……恥ずかしい!
清貴さんは横になったまま時刻を確認する。
ベッドサイドのテーブルに置かれたスマートフォンに表示される時刻はまだ朝の6時前だった。
彼は少し眠そうにスマートフォンを置くと、そのままこちらへ手を伸ばし私の下瞼をそっと撫でた。