愛艶婚~お見合い夫婦は営まない~
「やっぱり熱出てる……今日はお休みしましょう。旅館の方には私から伝えておきますから」
「……今日は本社で打ち合わせがあるから休むわけにはいかない」
「そんな体で打ち合わせしても頭に入りませんよ。はい、いいから寝る!」
めずらしく私の方が主導権を握り、清貴さんを言い負かす。
寝間着を用意して着替えてもらい、その間にリビングの戸棚を探し回り冷却シートや薬を見つけた。
薬を飲ませたら額に冷却シートを貼って、室内も加湿して……ひと通りのことを済ませると、あとはしっかり寝るようにと彼に強く言い聞かせ私は部屋をあとにした。
やっぱり、昨日の違和感はあたっていた。
言わないだけで昨日も風邪っぽかったのかな。
もっとちゃんと聞いて、昨日から対策してあげればよかったかも。
それにしても、あの意地の張り方……熱が出ても学校に行きたがる子供のようだ。
いつもしっかりしている彼の頑固な一面に苦笑いしつつ、私はとりあえず増田さんにこのことを伝えるべく旅館へと向かった。
それから旅館へ行き増田さんへ、清貴さんが熱を出して寝込んでいることを伝える。
それを聞いた増田さんは『あとのことは全てこちらで済ませるので副社長をお願いします』と言ってくれた。
その言葉にお礼を言って家に戻り、清貴さんの様子を見ながら家のことをして……。
15時になろうとした頃、私は再度清貴さんの部屋を訪ねた。