愛艶婚~お見合い夫婦は営まない~
うーん……やっぱり女の子っぽい。
花の絵柄のガラス玉といい、清貴さんが自分で選ぶとは思えないピンク色といい、これを彼がもっている姿がなんともミスマッチだ。
この前も思ったけど、私もどこかで見た気がするんだよね。
観光地によくあるお土産かなにかなのかな。
「ん……」
うーんと考えていると、背後から聞こえた声に慌ててストラップをデスクに戻す。
振り向くと清貴さんが目を覚ましたようで、横になったまま気だるげに目元をこすっている。
「あ、起きました?体調どうですか?」
「朝よりは大分マシだな……」
「よかった。飲み物ありますから、水分とってください」
スポーツドリンクのペットボトルを手渡すと、清貴さんは素直にそれを受け取りひと口飲んだ。
確かに顔色もだいぶいい。回復してきている様子だ。
「お昼ご飯まだでしたし、なにか作りましょうか。お粥で大丈夫ですか?」
「いや、それよりうつしたら悪いから極力部屋には来なくていい」
「あっ、それならいっそうつしてください!そしたら清貴さんも良くなるかもしれませんし!」
名案!とばかりに言ってみせる私に、清貴さんはまだ少しうつろな目を呆れたように細める。
その視線を向けられても私は気にせず、汗で濡れた彼の髪をタオルで軽く拭った。