愛艶婚~お見合い夫婦は営まない~
「そういえば、明日はなにか予定あるか?」
「予定ですか?えっと、掃除して洗濯して……あっ、お天気がよかったら草取りもしようかなって思ってます」
「そうか。じゃあそれは明後日に回してくれ」
明後日に?
出来上がったお弁当を包みながら、意味がわからず首を傾げると、清貴さんは答えてくれる。
「明日休みなんだ。だから、どこか出かけよう」
「えっ、いいんですか?せっかくのお休みなのに……疲れてませんか?」
「大丈夫。それに、散々看病してもらった礼がしたい」
そんな……お礼なんていいのに。
だけど清貴さんからそう言ってもらえるとは思わず、嬉しくて顔が緩む。
「じゃあお言葉に甘えて。明日はデートしましょうね!」
「行きたいところ考えておいてくれ。どこでも連れて行くから」
どこでも……。
清貴さんなら、本当にどこへでも連れて行ってくれそうだ。
だけど、結婚してからこれまであまりまともに休みをとっていない様子だった。
そんな中で、その少ない休日を私のために費やしてくれる彼の気持ちが嬉しい。
最初の頃が嘘のように、彼の優しさや穏やかさを知ってばかりだ。
明日、晴れるといいな。
そう願って、お弁当箱の包みの口をきゅっと結んだ。