愛艶婚~お見合い夫婦は営まない~
翌日。
その願いが届いたのか、今日は朝からからっと晴れたいい天気だ。
お気に入りの花柄のフレアスカートに、白い薄手のニット。
ストラップがついたシルバーのパンプスという格好に身を包んだ私は、停められた車の助手席から降りた。
「うーん、いい天気ですね」
笑って見た運転席からは、清貴さんが降りてくる。
そんな私たちの目の前には『箱根神社』の看板と赤く大きな鳥居がそびえている。
今回清貴さんとふたりやってきたのは、家から車で十数分ほどのところにある箱根神社だ。
平日にもかかわらず多くの観光客でにぎわう中、私たちは並んで歩き出す。
「こんな近場でよかったのか?もっと遠出してもいいんだぞ」
「はいっ、思えばこっちに来てから箱根をゆっくり見てなかったので。せっかくなら、もっとこの街のこと知りたいなって思って」
そう、箱根といえば言わずと知れた有名観光地だ。
にもかかわらず、ここに来てから私はほとんど家か旅館の範囲でしか行動していない。
なので今回は、まずはこの箱根という街をまわることにしようと決めたのだった。