愛艶婚~お見合い夫婦は営まない~
5.縁は異なもの味なもの
清貴さんとのデートから、数日。
雨が続いてようやく晴れた空の下、私は二階のバルコニーで洗濯物を干していた。
真っ白なシャツが数枚、かすかな風になびいて揺れる。
「ふう、洗濯物干し完了!」
雨が続くと浴室乾燥ばかり使ってしまう。けどやっぱり、陽の下でパリッと乾かしたほうが気持ちいいよね。
清貴さんは、今朝も早くに仕事に出た。
今日は本社に行って会議に出席して直帰するのだという。だからいつもより少し早く帰れるって言っていた。
『ごちそう作って待ってますね』
『あぁ。楽しみにしてる』
そう言って、優しい目をした清貴さんは私の頭を撫で家を出た。
先日のデートから、また少し彼との距離が近づいた気がする。
『春生のことをもっと知りたいと思ってる』
清貴さんが、そんなふうに思ってくれていたことが嬉しい。
思わずふふ、とにやけてしまいながらバルコニーから室内へ戻った。
さて、今日はせっかく晴れたし、ちょっと散歩でもしようかな。
この前清貴さんとデートしたときに、旅館の周りに小さな神社があったのを見かけたんだよね。
私が知らないだけで、実はいろいろお店とかもあるのかもしれない。
そう思い、私は出かける仕度を始めた。