愛艶婚~お見合い夫婦は営まない~



「それで、相手は?政略結婚ってくらいだし……まさかおじさんとか!?ちゃんとしてる人なの!?ひどい仕打ち受けたりしてない!?」

「大丈夫だよ。名護グループっていう会社の副社長さんなんだけど、気取ったところもなくていい人で……むしろとってもよくしてもらってる」



笑顔で答えると、唯ちゃんはどんな人かとすぐさまスマートフォンで検索をかける。

『名護グループ 副社長』というワードで検索すると、すぐに清貴さんの写真や経歴、ウェブニュースに掲載されたインタビューなどが出てきた。



わ、こんなふうに出てくるんだ。

そうだよね、あれだけの大きな企業の副社長だ。業界では有名なのだろう。

感心している私の目の前で、唯ちゃんは画面を見て目を丸くする。



「な、なにこのイケメン!この人が結婚相手!?うそでしょ!?」

「うそじゃないよ」

「イケメンハーフなうえに有名大学出身、あの名護リゾートの次期社長……」



そして、スマートフォンをテーブルに叩きつけた。かと思えばそのまま私の手を両手でぎゅっとにぎる。



「結婚式はぜひ呼んで。そして、旦那さんの友達紹介して!!」

「あはは、唯ちゃん……目が輝いてる」



よく晴れた空の下、私たちの笑い声が響く。



「でも春生、元気そうでよかった。辞めるって電話があったときは本当につらそうだったもんね」



そうだ。唯ちゃんと話すのも、退職の話を電話で伝えて以来。

唯ちゃんは明るい声で言いながらも、心苦しそうに顔を歪める。


  
< 81 / 150 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop