愛艶婚~お見合い夫婦は営まない~
「それで、相手は?政略結婚ってくらいだし……まさかおじさんとか!?ちゃんとしてる人なの!?ひどい仕打ち受けたりしてない!?」
「大丈夫だよ。名護グループっていう会社の副社長さんなんだけど、気取ったところもなくていい人で……むしろとってもよくしてもらってる」
笑顔で答えると、唯ちゃんはどんな人かとすぐさまスマートフォンで検索をかける。
『名護グループ 副社長』というワードで検索すると、すぐに清貴さんの写真や経歴、ウェブニュースに掲載されたインタビューなどが出てきた。
わ、こんなふうに出てくるんだ。
そうだよね、あれだけの大きな企業の副社長だ。業界では有名なのだろう。
感心している私の目の前で、唯ちゃんは画面を見て目を丸くする。
「な、なにこのイケメン!この人が結婚相手!?うそでしょ!?」
「うそじゃないよ」
「イケメンハーフなうえに有名大学出身、あの名護リゾートの次期社長……」
そして、スマートフォンをテーブルに叩きつけた。かと思えばそのまま私の手を両手でぎゅっとにぎる。
「結婚式はぜひ呼んで。そして、旦那さんの友達紹介して!!」
「あはは、唯ちゃん……目が輝いてる」
よく晴れた空の下、私たちの笑い声が響く。
「でも春生、元気そうでよかった。辞めるって電話があったときは本当につらそうだったもんね」
そうだ。唯ちゃんと話すのも、退職の話を電話で伝えて以来。
唯ちゃんは明るい声で言いながらも、心苦しそうに顔を歪める。