あの滑走路の向こう側へ✈︎✈︎✈︎
七、次なる挑戦
唯は新しい業務も意欲的に取り組んでいた。
前年度の決算も締まった頃、
草津の後任の河合課長の歓迎会で、
唯は同僚と飲んでいた。
「芹沢さんは簿記3級合格してんて?」
「はい、前職は経理と全然関係なかったので、
基本からと思って、挑戦してみました」
「じゃ次は2級やな」
「いやー、取り敢えず問題集は買ったんですけど、
ちょっと独学じゃ2級は難しいです…
次は、営業さん達が社内資格で取ってる
TOEICにしようかと」
唯は学生の頃、清きよさんとTOEICを受けた事があった。
毎日、大学の講義は英語だし、テキストも
もちろん英語だし、何とかなるかと思ったが、
ちゃんと問題集をこなした清さんの方が、
点数が良かった。
賢い人は、何しても賢いのよね、
そんな事を考えながら、
今回は問題集を買ってみた。
紘太は、研修も3年目となり、
整形外科を専門とし、大学の医局に残り、
まだまだ忙しい日々を送っていた。
週末、紘太の部屋で帰りを待ちながら、
イヤホンでヒアリング問題を聞いていた時、
唯は人の気配を感じて振り返った。
そこには若い男性が立っていた。
唯が驚いていると、
後ろから紘太が続いた。
「これ、弟の賢太けんた、
従兄弟の結婚式でカナダから帰国したんだ」