あの滑走路の向こう側へ✈︎✈︎✈︎
十四、契約社員への道
暦の上では秋だというのに、
残暑厳しい頃、
紘太は例年通り、遅めの夏休みを取ると、
今年は中東へ放浪に出てしまった。
唯の今年の夏休みときたら、散々だった。
毎年、のらりくらり避けてきた
祖父からの見合い攻撃で満身創痍だった。
休暇が終わるのを指折り数え、
逃げるように会社へ出勤したのだった。
気持ちを切り替え、
唯は本社に向かった。
人事との面接だった。
「人事も取って食うたりせぇへんし、
芹沢さんらしくやったらええねん」
河合課長と内山が送り出してくれた言葉で
心を奮い立たせ、唯は向かった。
それから数日後、平静を取り繕っても、
心ここにあらずな唯を、権田所長が別室に呼んだ。
結果は、採用だった。
同僚達はみんな心から喜んでくれた。