あの滑走路の向こう側へ✈︎✈︎✈︎
三、すれ違い、そして
慌しい年末年始が過ぎ去った2月半ば、
唯は国家試験が終わったであろう紘太に
メールを送ってみた。
「日本を放浪中で、今、青森」
と、雪景色の写真が送られてきた。
「北海道回ったら、飛行機で帰ります」
その数日後、搭乗手続きカウンターにいた唯は
後輩に声をかけられた。
「芹沢さん、札幌からが到着のお客様から
これ預かっています」
唯は、きっと紘太からだと思い、紙袋を覗いた。
「ああ、友達からのお土産だ。
あとでみんなで頂こうよ」
そう言いながら、紘太に会えなかったことを
残念に思っている唯だった。
勤務が終わり、唯は
紘太にお礼のメールをした。
すぐに紘太から返信が来た。
「すごく食べにくかったでしょ?!
日本一食べにくいお菓子…でも食べると
美味しいっていう有名なお菓子だよ」
唯はクスっと笑った。
「わざとなのね!」
このままやりとりを終えたくない、
そう思った唯は、次の話題を探す。
「今度、旅の写真、見たいな」
「飲み会でもしようよ」
「それって、合コン的な?」
紘太の誘いに、唯は少し逡巡したが、
思い切って返信した。
「みんなとより、二人がいいな」
返信が来るまでの、わずかな時間、
唯の心臓が早鐘を打ったように鳴り始めていた。
「そうだね、そうしよっか!」
唯は、ぱぁーっと目の前が開けたような
気持ちになった。
遅番帰りの疲れた心が軽くなったような
気がした唯だった。