あの滑走路の向こう側へ✈︎✈︎✈︎
十一、あやふやな消息
新しい生活も落ち着いた頃、
美香は大学の友達の菜々と会っていた。
「どう、二度目の東京生活は」
「学生時代は、あちこち行ったけど、
今は、会社と家の往復だけだね」
「え、休みの日とかは?」
「カルチャーセンターでお茶習ってる」
「へー、茶道? ……、
真樹君もやってたとか言ってたような」
ウッカリ口走った菜々は、ハッと息を飲んだ。
少し間を置いて、改めて菜々は言った。
「真樹君には会ったの?」
「ううん、特に連絡もしてない」
「そっかー」
「こっちに戻った事は知ってるの?」
「分かんない、知らないかも」
実際、美香はどうしたらよいのか
決めあぐねていた。
絶対連絡しないと決めた訳ではない。
でも、またよく分からない関係が続くのも、
もう、しんどかった。
出逢って、もう10年ぐらいになるが、
ずっとあやふやなままだった。