あの滑走路の向こう側へ✈︎✈︎✈︎
六、淋しい門出
それから史緒里は、何度か晴紀と食事した。
いつもせわしなく働く史緒里に、
晴紀はゆったりした気持ちを与えてくれた。
しかし、そんな晴紀も、
大学院の卒業を控えて、忙しくなり、
しばらく会えなくなっていた。
そんな晴紀だったが、
3月の終わり、なんとか時間を作ったのだった。
「引越しはいつなんですか?」
「もう明後日だよ〜、全然準備が進んでない!」
晴紀は、建築会社に就職し、
4月から東京で勤務する事になっていた。
「淋しくなりますね」
「え、そんな事思ってくれてるの?
嬉しいなー、東京遊びに来てよ」
「行きますね、職場から直行できますし」
なんだか、晴々した淋しさの残る別れだった。
しかし、就職してからの晴紀は、
現場を飛び回っているようで、
次第に連絡も減り、疎遠になっていった。
東京で、誰かいい人できたかな、
出会い多そうだもんな、
史緒里は、少し淋しく思っていた。