あの滑走路の向こう側へ✈︎✈︎✈︎
三、兄の友達
茉莉奈が運ばれてきた料理を食べている間、
啓輔と航は談笑していた。
「航ちゃんは、フルート吹きでさ。
フランスで、俺の伴奏で吹いてもらったりね、
男ばっか、あれも青春だな」
啓輔は懐かしそうに思い出しながら言った。
「そんな、小学生レベルで、プロに失礼じゃ…」
茉莉奈が言いかけると、啓輔は言った。
「いや、ちゃんと練習したから」
「啓さん、上手に弾けてましたよ」
航が加勢すると、啓輔は得意げに続けた。
「そうだよー、寮の留学生のイベントで、
日本の歌を紹介したんだよ。
ドラゴンボールな」
「ドラゴンボールって…
普通、日本の歌って、さくらとかじゃないの?」
「おまえなー、男子大学生にさくら聞かせたって
つまんねーだろ?
ドラゴンボールは万国共通なんだよ、
みんながそれぞれ母国語で大合唱よ」
「啓さんったら、
寮で練習したらバレるって、
わざわざ僕の学校まで来て練習してましたからね」
「え、きっとすごい音楽大学とかですよね…
何やってんの、お兄ちゃん」
「大丈夫、談話室のオルガンだから。
談話室でも男どもが集まってきたなー」
茉莉奈は啓輔たちの話を聞きながら、
早々に食事を済ませ、3人は店を出た。