あの滑走路の向こう側へ✈︎✈︎✈︎
五、打ち解けてゆく2人
地元の名所を観光し終え、
茉莉奈は同僚たちとよく行く
海辺のカフェに航を連れて行った。
「素敵な店だね」
「料理も美味しいんですよ。
ラザニアがオススメです」
一日の観光で幾分か打ち解けた2人だった。
「こっちの海って、穏やかで良いよね。
海面がキラキラしてる」
「そうですね、
って他の海をよく知らないんですけど」
「癒されるなー」
「いつでもお連れしますよ」
航は穏やかに海を眺めていた。
翌日、遅番で出勤するついでに、
講演に向かう航と、
それを聴講するという啓輔を
会場の音楽大学まで送った。
1週間ほど茉莉奈の実家に滞在した航は
数都市、同じように講演に廻ると、
現在の留学先のオーストリアへと帰った。
茉莉奈にも、美しいウィーンの街並みの
写真とともにお礼のメッセージが届いた。
〈ぜひ遊びに来て下さい。
今度は僕がご案内します〉
そうは言っても、
簡単に行けるトコじゃないですって、
とか茉莉奈は思っていた。