あの滑走路の向こう側へ✈︎✈︎✈︎
十三、駅までの並木道で
楽しい時間はあっという間に過ぎた。
バルを出ると、駅までの並木を歩いた。
「航さん、今日も、うち泊まりますよね」
航は恐縮して断った。
「いや、さすがに今日はいいよ。
やはり、付き合ってもない女性の家に
泊まるのは…」
しばしの沈黙を茉莉奈が破った。
「……、 そうなったらいいって
私は思っています…」
「え…」
「私、航さんの事、好きです。
実家に来られた時から、素敵だと思ってました。
でも、再会して、メッセージやり取りしたり、
そして今日、やっぱり好きだなって思ったんです」
少し考えた後、航が口を開いた。
「ありがとう、
僕も茉莉奈ちゃんの事、
素敵な人だと思ってた。
でも僕、稼ぎは少ないし、
こっちに住んでもないし、
とても、そんな立場じゃないと思ってて」
「そんな事、気にしないです」
航は意を決したように言った。
「じゃあ、今日もお世話になります」
「こっちでお仕事の時は、来てくださいよね」
茉莉奈は笑顔で言った。