あの滑走路の向こう側へ✈︎✈︎✈︎

十四、2人で過ごす週末



それから、月に1回、航が仕事で上京する際に
2人は週末を一緒に過ごすようになった。

始めは、茉莉奈も、
たまに会えるその日が楽しみで仕方なかった。

しかし、夏休みの事だった。

集中講義があるとかで、
しばらく航は滞在していた。
連日、終電での帰宅だった。

大学は夏休みでも、
社会人の茉莉奈にとっては、ただの平日。
毎日、茉莉奈が寝た後に帰り、
朝は早く出掛ける茉莉奈と航とは
すれ違いの日々が続いた。

せっかく長く一緒に過ごせるのに、
すれ違ってばかりで、
茉莉奈はモヤモヤしていた。

それでも、講義の最終日、
発表会は誰でも聴きに行けると聞いて、
茉莉奈は行ってみる事にした。

ピアノやバイオリンなど
それぞれの専攻が、順に演奏していた。

観客は、学生や関係者のようだった。

フルートの番が来た。
航は舞台袖に控えているようだった。
学生の緊張も、航の緊張も
伝わってくるようだった。

最後に、オーケストラとなった。
みんなの拍手で幕を閉じた。

航や数人の講師が、
学生たちに囲まれていた。

これを航は作り上げていたのだな、
という感動や尊敬も多いにあったのだが、
音大の女子学生の多さに、少し不安も
感じた茉莉奈だった。


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