あの滑走路の向こう側へ✈︎✈︎✈︎

十五、夏休みの後




夏休みも終わり、
また月一のペースで航がやってくる
日常が戻ってきた。

しかし、夏休み前と違っていたのは、
講義の後、帰りがとても遅くなった事だった。

航にも、仕事上の付き合いもある、と
頭では解っていても、
月に1度しか会えない茉莉奈には、
モヤモヤが残った。

お酒の強くない航が、赤い顔をして、
陽気に帰ってくる事が何度か続くと、
茉莉奈もつい言ってしまった。

「毎回毎回、随分と楽しそうに帰ってくるよね」

「んー、そうね、
 月に1度しか会えないからさぁ、
 ついついね」

「私も月に1度しか会えないですけど?」

「そうだよねー」と言いながら、
航はシャワーに向かってしまった。

皮肉は通じなかった。

けれど、つい皮肉をぶつけた自分に
自己嫌悪しながら、茉莉奈は先にベッドに潜った。

「あれー、先に寝ちゃった?」

気を遣ったつもりなのか、
航はソファーベッドで寝てしまった。

待ってたのに。
若くて可愛い女子学生たちと
楽しく飲んでたのかな。

茉莉奈はやり切れない気持ちで、
なかなか寝付けなかった。

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