あの滑走路の向こう側へ✈︎✈︎✈︎
十六、雪舞う誕生日
数日前に雪がちらついたにも拘らず、
冬晴れの空が高かった。
茉莉奈は雪の日に、
誕生日を迎えていた。
今日は仲良くしよう、
嫌な気持ちは持たないようにしよう、
茉莉奈は決めていた。
航は、こころもち、早く帰ってきた。
手には、小さな箱を持っていた。
「遅くなったけど、お誕生日おめでとう!
小さいけど、ケーキ買ってきた」
「うわー、ムッシューナカタのケーキだ!
ありがとう、コーヒー淹れるね」
茉莉奈はコーヒーとケーキの用意をし、
二人はテーブルについた。
「さすが、ムッシューナカタのケーキは
美味しいね、とろける」
「ん? あぁ、良かった」
「明日も公園に練習に行く?」
「あ? あ、練習? 行くよ」
満足そうな茉莉奈だったが、
航のいつもと違う、心ここにあらずな様子が
少し気になった。