あの滑走路の向こう側へ✈︎✈︎✈︎
十七、枯れ木の下での至福の時
翌朝、冬晴れの公園に二人は向かった。
航の練習する横で、
茉莉奈はベンチに座って
本を読んでいた。
枯れ木の下から眺める空は、
青く広かった。
プロの演奏を聴きながら読書なんて、
なんて贅沢なのかしら…
茉莉奈には至福の時だった。
練習を終えた航は、
茉莉奈の用意したコーヒーで暖をとっていた。
しばらくして、航が緊張した面持ちで
話を切り出した。
「茉莉奈ちゃん、今日は報告があるんだ」
「えー、何? そんな改まって」
「実は、キャピタル交響楽団の首席奏者に
選ばれたんだ」
「えぇ!スゴイ! キャピタル?!
わー、おめでとう!」
「ありがとう」
「早く教えてくれれば良かったのに」
「昨日は茉莉奈ちゃんのお誕生日会だったからね」
茉莉奈が航の新たな活躍の場を喜ぶ一方、
航はまだ硬い表情をしていた。