あの滑走路の向こう側へ✈︎✈︎✈︎
十八、いつもの大きな公園で
茉莉奈は航の新たな活躍の場を喜んだ。
そして、何か気付いて聞いた。
「へぇー、あれ?
キャピタルって、こっちの楽団だよね」
「うん」
「え、じゃあ、こっち住むの?」
「んー、そう」
「えー、やった〜」
茉莉奈の喜ぶ顔を見て、
航はゆっくり微笑んだ。
「それでさ…」
航は一呼吸置くと、
決意して言った。
「一緒に住まないか」
先程の喜んだ茉莉奈の顔が
一度止まり、
たちまち崩れた。
そして、涙に濡れた顔で、
茉莉奈は頷いた。
「大きな公園の近くがいいね」
茉莉奈の涙を拭うと、航は言った。
「そうだね、大きな公園の近くから
僕たちの生活を始めよう」
あの滑走路の向こう側へ、
それは、いつもの大きな公園の枯れ木からのぞく
冬晴れの青空に続いていた。
楽の音が、心をおとずれては、
あたたかき愛を充みてつつ。