あの滑走路の向こう側へ✈︎✈︎✈︎
十二、会いたくない人に
翌日、玲奈は何とか起き出して、
早番の勤務で出勤した。
カウンターで待機していると、
向こうから親しげな笑みの男性が近付いてきた。
崇だった。
「いらっしゃいませ」
「レイちゃん、仕事だったんだね!
昨日、あの後、今日飛行機乗るから
仕事かどうかメッセージしたんだけど、
返信なかったから」
玲奈が読む事ができなかった
続きのメッセージは、この事だったようだ。
「あ、ゴメン、疲れてて、そのまま寝ちゃった。
出張?」
「うん、そうなんだ」
そう言うと、崇は振り返った。
すると、そこには、金髪の外国人の女性が
立っており、玲奈に気付くと微笑んだ。
それは昨日、崇の家の前で見た女性だった。
玲奈はまた貧血を起こしそうになったが、
こっそり大きく息を吸い、
何とか取りなすと、営業用の笑顔を浮かべた。
「ではお気を付けて、いってらっしゃいませ」
玲奈がお辞儀をすると、
崇は「いってきまーす」と軽やかに去って行った。