あの滑走路の向こう側へ✈︎✈︎✈︎
十三、いつも隣には…
ゲートから戻ってきた茉莉奈が
玲奈に声をかけた。
「幼馴染みの鈴木様、いらしてたわよ。
ゲートで英語が喋れないお客様に
通訳してくださったんだけど、
あれは何?フランス語?」
「あぁ、フランスに留学してたから」
「なるほど、じゃお連れ様はフランス美女」
「うーん、彼女は知らないんだけど…」
へーと言いながら茉莉奈は仕事は戻って行った。
それからは、崇からメッセージが来ても、
差し障りのない返信しかせず、
家族が会いたがってるとの誘いも
あれこれ理由を付けては断っていた。
頬を寄せる2人を目撃して、
貧血を起こすほどショックだった。
それは、ただ幼馴染みが遠くに感じてしまった
ショックだったのか、
それとも、それ以上の想いでショックだったのか。
考えると明白だった。
玲奈は自分の気持ちに気付いたのだった。
しかし、気付いた時には
崇の隣には別の女性がいた。
そんな状況で、
自分の気持ちを伝えてまで、
今までの関係を壊したくない。
取り敢えず、
気付いてしまったこの気持ちが
収まるのを待つしかなかった。