あの滑走路の向こう側へ✈︎✈︎✈︎

十五、繁忙期はピークで

朝から、全便満席。

早朝の初便はなんとかやり過ごしたが、
やはり人気の次便は、手こずりそうだった。

こんな日に限って、玲奈は
ゲートコントローラーという、
発着便を担当する係員をまとめる係だった。

切羽詰まった状況を
ゆったりしたアナウンスが伝えていた。

〜〜ご出発のお客様にご案内します…
…次便、13時30分発の便への振替に
ご協力いただけるお客様がいらっしゃいましたら
係員までお知らせください〜〜

玲奈は搭乗待合室内での協力者を募る為、
早めにゲートにスタンバイした。

搭乗手続き終了まで、あと5分。

玲奈なカウンターに内線をかけ、
状況を尋ねた。

〈先程、まもなく手続き終了のアナウンス
　しました。今バスが着いたようで、
　数人走ってきてます〉

無線からも報告が続く。

〈こちら手荷物検査場です、次便のお客様、
　優先に切り替えました、どうぞ〉
〈こちらシップサイドです、優先搭乗のお客様、
　途中までご案内お願いします、どうぞ〉

内輪で緊迫した状況の中、
ゲートの玲奈に乗客が近付いてきた。

「すみません」

崇だった。

一瞬、時が止まった。
玲奈は思わず息を飲んだ。