あの滑走路の向こう側へ✈︎✈︎✈︎
十八、出発後
「はぁー、やっと出たね〜」
玲奈はゲート担当者たちとオフィスに戻り、
ゲートの書類などを片付け、
とっ散らかった頭の中も整理し、
少し遅れて、1人で休憩に入った。
忙し過ぎて食欲もないけど、
なんか甘い物でもお腹に入れとかなきゃな、
玲奈は空港内のカフェに向かった。
しかし、カフェも混み合っていた。
「申し訳ありません、ただいま満席で」
そりゃそうだよな、
こんな満席続きなんだから、
カフェも満席だよな…
「じゃあまた…」
ガックリした気持ちで
踵を返そうとしたところ、
「レイちゃん!」
崇だった。
「良かったら、ここ、一緒に」
自分の向かいの席を勧めてきた。
ホッとした様子の店員の様子に
玲奈も出るのを躊躇われ、
崇の向かいに座った。
「さっきはありがとう、ホント助かりました」
「いや、ホントに大変な仕事だね。
忙しいとは聞いてたけど、
もしかして何か避けられてる気もしてて、
でもこんな忙しいとは…
のんきにうちの家族とケーキなんて
そりゃ無理だよね」
先程のゲートでの様子を思い出し、
始めは少し興奮したように話し出した崇だが、
次第に少し声のトーンが落ちてきた。
「いや、まぁ、今日は特別だよ。
全便満席とかは、さすがにお盆の最終日だけで」
と言いながら、玲奈は先程の事を思い出していた。
あんなお客様に怒られてる所なんて、
知ってる人に、それも崇に見られたくなかった。
「いや、あれはヒドかった。
おっさん、そりゃないぜって、
俺、出て行きそうだったもん。
そしたら、あの上司さんなのかな、
なんかスゴイ上手に説得したよな。
ウンウンって頷いて話聞いて、
そしたらおっさんも、もういい、ってな。
なんか、学ぶべき所あったよ」