あの滑走路の向こう側へ✈︎✈︎✈︎
二十一、傷付く覚悟で
玲奈はまた、瀟洒な建物の前にいた。
以前、崇が外国人の女性と頬を寄せていた
その門の前で立ちすくんでいた。
しばらくインターホンを押せずにいると、
後ろにタクシーが止まった。
そして、あの外国人女性が降り立った。
彼女は笑顔で挨拶した。
「ハジメマシテ、エマデス。
レイ?」
「あ、え、初めまして、
えっと、そう、レイです、玲奈。
えーっと、エマさん?」
玲奈は慌てて自己紹介をした。
エマがインターホンを指差して
何か言った。
「あ、押しますね」
せざるを得ない状況となり、
玲奈はインターホンを押した。
出たのは、母親だった。
「あ、路子さん、お久しぶりです。
エマさんとここで一緒になりました」
玲奈は玄関へと向かった。
エマも勝手知ったるようで、続いた。
リビングに入ると、
玲奈は崇の両親から20年ぶりの
大歓迎を受けた。
エマの事が気になり、
気もそぞろに2人の話を聞いていると、
崇の弟の翔が自室から降りてきた。