神埼探偵事務所
アイスピックを手に持ち……
まるで私を今ここで殺そうとしているかのように大きく腕を振りかざしたと同時に……
ママとチーママ除く全オカマ、そして客のフリをしていた警察官達が一斉に平沢達也を取り押さえた。
「……ッ!!」
「お前ッ……騙してやがったな!!」
「騙すも何も、ここまで分かっててアンタに悠々と1人で会う様な馬鹿な女だと思ってたワケ?私が何の為に、大河の幼馴染してたと思ってんのよ!」
「──大河?……ああ、なるほどな。このプランもあいつの入れ知恵ってか。」
「入れ知恵ってあんたねぇ…!」
次は私がアイスピックを握る番だ。
流石に誰も私がこの場で暴れるとは想像もしていなかったのだろう、彼の腕を突き刺す直前に警察ではない誰かに後ろから細くて白い腕を掴まれた。
「おい、もういいだろ。サクラ。」
「っ…大河……でも、いいって……」
いや、よくないだろう。
私だって伊達にプライドだけ高いワケじゃない。まるで私には脳も何もないような発言をされて、誰がこの場で大河の顔のみ立てて、にこやかに笑ってられると言うんだ。
「久本さん、現行犯でコイツ引っ張れますよね?」
「ああ。自供は取れたも同然だからな。平沢達也、お前を傷害未遂と正当防衛で現行犯逮捕する!」
何度も目の前で見かけた鋼の重い手錠をかけられた平沢は、私と大河をジッと見つめて何やら気味の悪い笑みを浮かべる。