神埼探偵事務所
「あー、サクラが言ったのよ。今は大河も大変な時期だし心配かけたくないから言わないでって。」
「───ッ。」
大河には珍しく本気で悔しそうな顔で私を睨みつける。何で言わないんだよ、しょーもない事は毎回言ってくるのに、ってな具合だろう。
「家はね、大河が居る時でも居ない時でも本当にサクラには助けられたのよ。私がパパと喧嘩してもサクラが来たら絶対に仲直りして3人でご飯食べてたもの。」
「サクラには、人を引きつけるそんな魅力があるの。」
「……ちょっと、私なんか照れるんだけど」
「まあ、こいつって底抜けに性格だけは良いからな。じゃないとオレの幼馴染なんて務まんねえし」
「一回、オレに切り絵のポスター送ってくれただろ?あれとかも、友達からすげえ評判良くて、そっから3日位、何かしらねえけどオレの鼻が高かったしな。」
ぶっきらぼうに、美味しそうな黒毛和牛を頬張りながらそんな事を突然言う大河。
普段、あんまりそういう事を言われないからこそ思い切り笑顔になってしまう私。そんな私達を見て、大河ママはいつもの様にキャーキャー言っている。
「……でも、私、本当に切り絵好きだったなぁ。」
「最近は仕事が忙しくてあんまりやってないんだけどさ、でも半年くらい前に完成した作品が有るの。見る?」
「お!それは見たいな〜」
「でしょ?大河パパ!ちょっと待ってね、確かスマホで撮ってるから〜…」
とギャラリーの中から写真を探し出そうとした時だった────。