神埼探偵事務所
「じゃあ何だよ、いきなり黙って。」
テレビに向けていた目をコチラに向けて、不信感丸出しでおでこを触られようとして…反射的に避けてしまう明らかに可笑しい私、青海サクラ。
「あっ、あのっ……」
「ああ?」
「いやッ、その…」
「長くて細い指とか、大きな肩幅とか」
抱きしめられた時に感じた大河の胸の厚さもそう。腕の筋肉だってそう。
「TOHO前の事とか、」
「その他にも色々大河は私の知らない所で、成長して……何ていうか、男になってたんだなって思うと何か急に緊張しちゃって。」
「──ッ…!」
「だからさ、大河。この際だから聞いていい?」
「……何、だよ。」
いや、聞きたい事なんて何も無い。
これだけ長い付き合いしてきたんだから、大河の好きな物や嫌いな物、タイプまでも知ってるつもりだ。
ただ──話しを変える為だけに質問をしようとした。だけど、その質問が思いつかないなんて…!
「あの〜……」
「大河ってさ」
「……。」
「何で警察官にならなかったの?!」