神埼探偵事務所



「───へ、いや…この流れでその質問?お前マジかよ?」


「いや、えっと…まあずっと聞きたかったんだけどそういえばちゃんとした答え聞いてなかったなって思って!」


そうだよね、目の前でポカーンとされるのは当たり前だよね。

どこの世界に、散々褒めちぎっといて❝何で警察官にならなかったの?❞なんて聞く馬鹿が居るんだ。


「ほら、大河ってさ!」

「私が聞いても『俺は探偵のが向いてるから』とか、そういう漠然とした答えしかくれなかったじゃん?でも!そんな漠然とした答えで自分の道を決める様な人じゃないから…だから…」




「俺が探偵になった理由は──…」


あの日、私達が見た七色の夕日を見つけた大河は再生ボタンを押してからすぐに一時停止をする。

そしてリモコンを机の上に置いてから、何も言わずに私の膝の上に頭を乗せた。



───今まで何回かこういう状態になった事は有ったけど、シラフでこれは初めてかも。

大河はテレビの方向を見てるし、私は真正面向いてるし角度的にお互いの顔が見えないのが唯一の救いかもしれない。
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