神埼探偵事務所
「俺もお前もある程度の年齢になって、色んな出会いとか性欲とかそういうのも出てきて……」
「俺は…その…」
「そりゃあ、お前を抱きたかったよ。お前を抱けたらどれだけ幸せなんだろうってずっと思ってた。」
「でも、俺とお前の関係性が壊れる位ならワケの分からなねえ輩達との恋愛を幼馴染として応援してる方が良いのかなって思った。」
「お前の目とか肌とか見れば、俺と同じく色んな事を経験してお前は女になったんだ、って分かった。」
「───ッ…。」
近い距離にある大河の胸がドクドクと音を立てているのが聞こえる。きっと同じく私の鼓動も彼に聞こえている事だろう。
「でも、実際に良い感じの男が居るって言われた時にまだそいつに手出されてないなら、俺がコイツを守るって思ったんだよ。」
「俺は小学生の時からお前の事しか女として見てなかった。」
「だからお前以外の女には、あれほど冷たくなれた。」
少しだけ乱れている彼の浴衣の首元に手をかける。驚いた様に見下げる彼の顔をここまで色っぽいと感じた事は無かった。
「……サクラ?」
「ねえ、大河。後悔、しない?」
「私はしない。」
「私は──ッ」
彼が私を女として見てくれていたのなら、多分それなりに……サイコパスなりに悲しい思いや悔しい思いもしてきたと思う。
でも不器用が故に自分の本当の思いをうまく伝えられなかっただけだとしたら、私はそれを汲んであげれなかった最低な女だ。
「私は、あんたの気持ちを汲んであげられなかったし沢山悲しい思いもさせたと思う。最低な女だな、って思う。」
「でも───」
「それ以上言わなくていい。俺は後悔しないから。」
「だからサクラももし途中で嫌になったら、俺を殴るなり蹴るなりしてくれれば良い。」
「愛してる、サクラ。」
今まで見た中で一番優しくて色っぽい笑顔を向けてきた彼は私を優しく押し倒し、キスの嵐を唇から首筋、鎖骨へと振らせた。