神埼探偵事務所
「そうだよ、大河!!!」
「──ッ、おめえ!色気もムードもへったくれも無いな!いきなりデカイ声出すなよ!」
大河の手のひらをペチっと叩いてから、ベッドの下に投げ捨てられているパンツを探し出し、器用に布団の中でそれを履いてから座り直した。
「大河!気付いた!」
「だから、何に気付いたんだよ。」
呆れた様に私を見つめる大河は完全に❝そういうムード❞じゃないと察したのだろう。
舌打ちをしながら色っぽく前髪をかきあげて、煙草に火を付けた。
「警視庁に他都道府県から似た様な報告が上がってきていないし、他の家族に聞いても花びらっぽい紙くずが給食袋の中に入ってたのは都内の家族だけだったよね?」
「ああ。」
「つまり、犯人は出張の無い、基本的に東京で活動している人なんだよ!」
「だって、そうじゃない?ペドフェリアなんて常に自分の欲求や理性と戦ってるワケじゃん。でも、理性が負けてしまうから、実際に児童に手を出してしまう。」
「もし、都内じゃなく例えば千葉県とか神奈川県に住んでる人ならそっちでも似た様な事件が起きてるはずだし、出張族なら新幹線の止まる地域でも似た様な事件が起きてると思うの。」
「そうだな。実際、東京だけで起きてるとなると、犯人は都内に住んでて都内で働いてる人だって線が強くなる。」
「問題は年齢、だな。若いやつならまだ出張を担当させてもらえないだけかもしれないし、年取っててそれなら犯人は出張の無い仕事をしている事になる。」
「もしくは、出張先では取引や接待が有って身動きが取れない、とか。」
「……でも、どっちにしろそっから犯人に目星を付けるのはかなり難しい話しになるぞ。」
「分かってるよ。だけど都内だけに目を付ければ良いってなると、凄い気持的に楽じゃない?」
「──これから起こるかもしれない事件を防ぐ事は、可能だよな。」
深くうなずいた私の大好きな幼馴染、神埼大河。
私は今後も──彼に付いて行くだけ、だ。