神埼探偵事務所


KAT-TUNのゴリゴリロックミュージックが場違いな程に私達を盛り上げようとしているけれど、対する二人はしんと静まり返りながらお互い何かを考えている。


──今でこそ、ランドセルの色も多けりゃ種類も多いし女の子だから赤色にしなさい!とかそういう決まりが無いのも分かる。

でも、そんなご時世だからこそ犯人がランドセルの色に拘ってるとするならば……前も二人で話した通り、これから起こるであろうかもしれない犯罪を防ぐ事は可能だ。



だけど問題は二つある。

一つは、そんな状況証拠のみの事実をどうやって国民に伝えて注意喚起するのか。

そしてもう一つは、なぜ……犯人はランドセルの色に拘るのか。


可能性としては、犯人がある特定の色だけ見えるという色盲の可能性も有る。

だけど都内に色盲の人なんて何万人居るんだろう。それだけを目処にペドフェリアを探すのは至難の技だ。



──考えれば考えるほど頭が痛くなるこの問題。

でも、それでも……隣にこの事件に真剣に向き合っている大事な人が居るのなら、私も途中で諦めるなんて真似は出来ない。


それが探偵である事に誇りを持つ❝神埼大河❞を好きになった私に出来る、彼への精一杯の忠誠心だろう。

< 59 / 130 >

この作品をシェア

pagetop