神埼探偵事務所



「とりあえず、少しでも進展が有ったなら良かった。今ここでその話しを聞きたい所だけど…今日は川崎、お前内閣と話しが有るだろ?」

「はい。自分は19時前から赤坂の料亭でミーティングが入ってます。」


「だろ。だから今此処で話しを聞くのは辞めておいて……そうだな、自宅でゆっくりと聞く事にでもするよ。」


「それより親父、何でそんなに遅れたワケ?内閣関係者との話しっていつものやつだろ?それなら、後30分は早く到着するかと思ってたけど。」


久本さんが私達に淹れてくれた珈琲を飲みながら、落ち着いてそう尋ねる大河。

普通の人なら、周りに誰かが居る場合は我が父親であっても顔を立てて丁寧な対応をするはずだけど……元々、大河の辞書には❝忖度❞と云う言葉は無い。

何処に誰が居ようとも、父親は父親ってな具合だからこうやって普通に大河パパに話しかけているのだろう。


──だし…大河パパもそんな大河の性格を知ってるから何も言わなければ、警察に来い!と無理強いしなかったのかもしれない。

警察界隈って自由でアツい雰囲気に思えるけど、知れば知るほど狭い世界で、意外と忖度しなきゃイケない部分が死ぬほどあるからなァ…。


「ああ、実は今日警察庁の入り口である男が暴れてな。その対処と安全面を考慮して出発が遅れたんだ。」


「男が暴れた?何だそりゃ。」


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