神埼探偵事務所
───川崎、と大河パパに呼ばれていた金融ヤクザみたいな見た目をした官僚が、丁寧なお礼を大河にしてから会議室を後にしたのが20分前だ。
あれからと云うもの、久本さんにパソコンを取りに行かせた大河パパは一番偉い席に座ったまま、何かをジッと真剣な表情で考え続けている。
そしてパソコンの前で、こちらも難しい顔をし続ける残りの官僚さんと、私の幼馴染の神埼大河。
今の警察データベース機能はとても素晴らしい。
名前を入れると本籍地・住民票所在地と共に同姓同名の人達がずらーっとヒットして、お目当ての人物をクリックすると、免許証の取得年数から何まで全て赤裸々に確認出来るのだから。
「こいつの父親、マジもんの金持ちなのか…」
「何で?あ、ありがとう」
ぽつりと、そう呟いた大河の話す内容に興味を持ち男3人が集まっている方へ歩いて行くと、ご丁寧にパソコン自体を私の方へ向けてくれる。
大河はスーパーナルシストだし、サイコパスだし、オラオラだけど……こういう些細な優しさが垣間見えるからこそ、近くに居る人達は大河の事を嫌いになれないのだと思う。