神埼探偵事務所
「…センチュリーって……!!」
「え、センチュリー?……大河君、それって考えすぎかもしれないけどさっき言ってた…」
久本さんが身体を乗り出して、大きな声でそう告げると捜査の進展を知ってる同室に居る他の者達も、頭の中で『まさかのパーツ』が繋がったのか一瞬にして、沈黙が私達を襲った。
『犯行前日にセンチュリーを見ました。』
『カーテンが閉まってて中は見えなかったけど、こんな辺鄙な街にセンチュリーって可笑しいでしょ?』
強気に、でもどこか儚く……そして脆く……私達に声を掛けたあの母親の整った顔と低い声が脳裏によぎった。
「でも大河…あの事件の時も、きっと警察は平沢さんの車だって云う目星は付けたはずよ。」
「一応、犯行当日のアリバイも聞いたと思う。それで重要参考人にすらならなかったって事は……「いや、俺の勘は外れねえ。」
スパッと私の考えを切った大河の声も、また低く何処か凄みすら与える。
「おい、まさかこの連続誘拐事件の犯人が平沢院長だって言うのか?」
「それなら何故、平沢の息子が警察庁で暴れる必要が有るんだよ。…いや、暴れる必要が……」
有る、んだ。
もし、本当に達也君の父親が犯人であるとすれば──警察庁入り口で奇声を上げた事にも納得がいく。