にびいろのなかのひかり 鈍色の中の光
原さんはビールを飲みながら
私が持ってきた料理をつまんだ
「原さん、趣味とかないんですか?」
お見合い?
「ないです…」
「じゃあ、彼女とか…
好きな人は?」
「…ずっといない…」
「前はいたんですね!」
「いたのかな…」
原さんは少し恥ずかしそうに
後ろ髪を触った
「え、なんですか?
意味深!」
「オレは好きだったけど…
付き合ってるとか…
そーゆーのじゃなくて…
…
彼氏ができたって…」
「…切ないですね
同級生とかですか?」
私
原さんと恋話してる
「ふたつ上…」
私と同じ歳
「仕事始めてから?」
「高校生の時」
「じゃあ、同じ学校の先輩とか…?」
また踏み込んでしまう
「オレ、工業高校だったから
男ばっかで
…
卒業してすぐに独り暮らしして
整備士になったから
女っ気ぜんぜんなくて…」
じゃあ、他校か
先輩が好きだったんだ…