にびいろのなかのひかり 鈍色の中の光
「やっぱり、まだ上手くできない…
美波さんいないと
オレ、ダメなんだって思った…」
原さんが言った
原さんは最近
そんなことを言ってくれる
最初に会った時の
無愛想な原さんからは考えられない
たぶん
こっちがホントの原さん
「うまい…
今日のは、ちゃんと
オレの好きな味になってる…」
いつものと違う
甘くない…
あの時の玉子焼きは
先生のこと考えて動揺してた
原さんは
きっと知ってた
私の身体からも
先生の匂いがしてたんだろうな