にびいろのなかのひかり 鈍色の中の光
「先生、いい人みつかりました?」
「そんなこと、心配してくれんだね…
最近、いい店みつけたから大丈夫」
「キレイなオネエさんいる店ですか?」
「そっちじゃなくて…
優しいご飯出してくれる店
美波さんの料理に似てる
玉子焼きは、ちゃんと甘いけどね」
先生はそう言って笑った
「よかった
先生、元気そうで…」
「今度一緒に行く?」
「いえ…行きません」
「はい
美波さんの、そーゆーとこ好きだった」
「え?」
「合コンした時
ぜんぜん興味なさそうにしてた
…
ドクター見下してるでしょ
そーゆーとこ」
先生はまた笑った
「ひとりでも多くの人の命…
救えるように日々精進します
…
箸もちゃんと持てるようになったし
好きな女のためなら
オレってデキル男じゃんって思った
…
まぁ、
そーゆーとこが嫌いなんでしょ
美波さん
…
でも
自信がなきゃできない仕事だからさ
わかって…
…
じゃ!」
そう言って先生は、いなくなった