にびいろのなかのひかり 鈍色の中の光

「私飲まないから
帰り、車で送ります」

原さんに小声で言った



原さんは
たぶん飲まない気でバイクで来てるけど


お父さんが
すごく嬉しそうだったから


私も嬉しかった





「明日の朝、帰ればいい…」

お父さんが言った




「「え?」」

原さんの声と私の声が重なった





お父さんが
原さんのグラスにビールを注いだ



「遥、布団あるだろ?」



「うん…あるけど…」



「じゃあ、敷いてきなさい
お母さんの仏壇の部屋
空いてるだろ」



「え…」

原さんと目が合った


目が笑ってた




「うん、じゃあ…敷いてくるね
お母さんの部屋に」




「いただきます…」


原さんはおいしそうにビールを飲んだ





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