にびいろのなかのひかり 鈍色の中の光
「おまたせしました
どーぞ…」
「いただきます」
この前まで食べてたから
美波さんが作ってくれた玉子焼きと
比べてしまう
美波さんの玉子焼きみたいに
甘くて
優しくて
それから
お母さんの玉子焼きって
きっとこんな味なんだろうな
愛情を感じた
母親の玉子焼きの味は思い出せないのに
オレ、食べたことあるのかな…
母さんの玉子焼き
「玉子焼き
オレの好きな味でした…」
「ホントに?
嬉しい…
口に合うかなって
ちょっと、ドキドキしました」
「また来てもいいですか?」
「はい
よかったら…
初めてのお客さんです」
カウンター越しに女性は微笑んだ