にびいろのなかのひかり 鈍色の中の光

「飲み物何がいいですか?」



「なんでも…」



「じゃあ、コーヒーだったら
ホットとアイスどっちが?」



「アイスで…」



「はい
ミルクとガムシロいりますか?」



「じゃあ…、はい…」




「私、梅酒飲んでいいですか?
一緒に飲みます?」



「甘いの飲まないんで…」



「あ、じゃあ、ビール飲みますか?」



「バイクなんで…」



「そっか…
じゃ、私だけ、スミマセン…」



「ケーキ、食べないんですか?」





一緒に食べてくれますか?


って、テーブルには
原さんのぶんのケーキしかなかった





「今、お母さんにあげてきたので…
もう少ししたら、食べます」



「え…」



「お母さん、私が小学生の時に
亡くなったんです…
父も単身赴任だから
月末に帰ってきますけど…」



「…」



「だから、誕生日
誰かと一緒なのって
いつぶりだろう…

彼氏もずっといないので…」



「…」



「スミマセン…こんな話して…

ケーキ食べようかな…
お母さん、食べたかな…」




お母さんの仏壇からケーキをさげてきた




「ケーキと梅酒って…変ですね」



「…」




あ、なんか、私が変な話したから

原さん、また黙っちゃった




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