降りますか、降りませんか。
降りますか、降りませんか。
 先輩方が開いてくれた親睦会の帰り、同じ方面に向かう人とタクシーに乗って帰ることになった。


「あ、相乗り失礼シマス」


 まさか同期のタマキさんと一緒になるとは。

 入社早々仕事ができると評判で、そのうえカッコよくて、雲の上の存在。


 社内ではおろか、さっきの飲み会でもほぼ話さないような相手なのに、二人きりになるなんて。はわわ。

 いや、運転手さんいるけど。


「オギノさんて」

「はいっ」


 は、話ふってくれた!

 というか名前呼んでもらえた。


「酒。強いんだな」


 …………そこ?


「そうですね。まあ、弱くはないですかね」

「アルコールぶっ通しで飲んでたろ」

「飲んでました……けど」


 それは皆さんもですよね?


「よくもつね」

「そういうタマキさんこそ強い、ですよ?」


 顔赤くなっていないし、落ち着いているし。


「俺は、ウーロン茶飲んでたから」

「え?」

「ウーロンハイのフリして」
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