君との想い出が風に乗って消えても(長編・旧)



 加恋ちゃんは昨日から様子がおかしい。

 ……昨日から……?

 違う……。

 正確に言えば昨日の昼休み過ぎてからおかしい。

 ……昼休み過ぎ……?

 ……昼休み……?

 ……‼

 もしかして……。


「加恋ちゃん……」


「…………」


「加恋ちゃん、もしかして昨日の昼休みのことを気にしてるの?」


「…………」


「だとしたら、そのことは全く関係ないよ。愛美ちゃんは僕の幼なじみなんだ」


「…………」


「久しぶりに顔を合わせたから懐かしかったけど、ただそれだけだよ」


「…………」


 加恋ちゃん……。


 どうしよう……加恋ちゃんが無言のままだ。


 一体どうすれば……。


「……優くん……」


 加恋ちゃん‼


「……わたしのことはいいから……」


 ……え……?


「……『いいから』……って……?」


「わたしのことは気にしなくていいから……工藤さんと仲良くね……」


「……それって……どういう……?」


「工藤さんは優くんのことをすごく想ってる」


「……え……?」


 ……なんで加恋ちゃん、そんなこと……。


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