君との想い出が風に乗って消えても(長編・旧)
一人の男子が先生にそんなことを言い出した。
一人の男子がそんなことを言い出したから、あっという間にクラス中がざわついた。
「特別な日?」
先生は、そう言って不思議そうな顔をしていた。
「ちょ……ちょっとやめてよ、そんなことをいうのは」
僕は慌ててその男子にそう言った。
「なんだよ~、本当のことだろ」
その男子はニヤニヤしながらそう言った。
「あぁ~、バレンタインデー」
先生は思い出したかのようにそう言った。
「でもね、今は授業中だから授業に集中しましょうね」
「……はい……」
僕は、おとなしく返事をすることしかできなかった。
「はい、みんなも静かに」
先生は生徒たちにそう言った。
* * *
授業が終わり、部活も終わって加恋ちゃんとの帰り道。
やっぱり僕は、そわそわしていた。
僕は、そわそわしながら加恋ちゃんの方をチラッと見た。
加恋ちゃんはいつも通りの様子で歩いていた。
こんなにもそわそわしているのは僕だけなのかな……?
僕は少ししょんぼりしてきた。